大野圭一のブログ

建築のことと日々のことと、

アアルト展

平日、天気のよい昼下がり、仕事もひと段落したということにして、葉山の神奈川県立近代美術館まで、僕の大好きな建築家、アルヴァ・アアルトの展覧会を観に行ってきました。

展示はアアルトが手掛けた家具やプロダクト、そして建築と多岐に渡っていて見どころ満載でしたが、やはりアアルトの特徴でもある曲線の美しさは本当に魅力的です。

特に建築においては、切っても切り離せない水平や垂直、直線といった要素の中に、柔らかな曲線が施されていて、それは幾何学上の曲線ではなく、もっと自然に近い曲線であって、それが建築全体の親和性みたいなところにつながっているような気がします。そしてまた、その曲線の成り立ちは、緻密な計算から導き出されたものというよりは、数多くのスタディを重ねた末に、アアルトの内面からくる感性をつきつめたところからくるのだろうなと、展示されているモックアップを見ながらそんな考えを巡らせていました。

そんな時ふと我に返り、同じ設計者として、果たして僕はそこまでデザインをつきつめられているだろうか、いやできてないよな~、と。建築家という存在の社会における立ち位置や、求められているものが時を経て変わってきているという言い訳じみたことを思い浮かべながらも、とはいえ自らが求め理想とするところには少しでも近づきたいな思い直す次第。

何はともあれ、他人がクリエイトしたものを見ることは、自分に新しいインスピレーションを与えてくれると同時に、自分自身を一歩引いたところから眺めるよいきっかけになります。

帰る前、気晴らしに美術館近くの砂浜をとぼとぼひとり散歩をしましたが、気持ちはすでに現実に戻っていたのでした。

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